はじめに
前回はPythonのインストール方法と環境設定について解説しました。今回は、Pythonの基本的な文法について学びます。これにより、Pythonのコードを書き始める準備が整います。基本文法を理解することは、効率的でエラーの少ないプログラミングの第一歩です。
1. コメントの書き方
Pythonのコードにコメントを追加することで、コードの意図や目的を説明することができます。コメントは、プログラムの実行には影響しませんが、コードを読みやすくするために重要です。
1.1 シングルラインコメント
シングルラインコメントは、行の先頭に「#」を付けて書きます。
# これはコメントです
print("Hello, Python!") # ここもコメント
1.2 複数行コメント
複数行にわたるコメントは、「”’」または「”””」で囲みます。これは文字列リテラルとしても扱われますが、通常はドキュメントの記述に使われます。
'''
ここは複数行コメントです。
何行でも書くことができます。
'''
2. インデントの重要性
Pythonではインデント(字下げ)が文法上非常に重要です。他のプログラミング言語では波括弧「{}」などでコードのブロックを区切ることが多いですが、Pythonではインデントによってコードブロックを表現します。標準的なインデントはスペース4つ分です。
2.1 インデントの使い方
例えば、if文などの条件分岐やループ構文では、インデントを使ってブロックを定義します。
if True:
print("条件がTrueです") # この行はインデントされています
print("この行はインデントされていません")
2.2 インデントのミス
インデントがずれているとエラーが発生します。以下のコードはエラーになります。
if True:
print("これはエラーになります") # インデントが適切でない
エラーメッセージに「IndentationError」と表示された場合は、インデントのミスを疑いましょう。
3. 変数とデータ型
変数はデータを格納するための箱です。Pythonでは、変数を宣言するために特別なキーワードは必要ありません。値を代入するだけで変数が作成されます。
3.1 変数の宣言と代入
以下のようにして変数に値を代入します。
x = 10
y = "Hello"
3.2 データ型
Pythonには主に以下の基本的なデータ型があります。
- 整数型(int): 整数値を扱う
- 浮動小数点数型(float): 小数点を含む数値
- 文字列型(str): 文字列を扱う
- ブール型(bool): TrueまたはFalse
a = 5 # 整数型
b = 3.14 # 浮動小数点数型
c = "Python" # 文字列型
d = True # ブール型
3.3 型の確認
変数のデータ型を確認するには、type()
関数を使用します。
print(type(a)) # <class 'int'>
print(type(b)) # <class 'float'>
4. 演算子と計算
Pythonでは、基本的な計算を行うための演算子が用意されています。ここでは、最も一般的な演算子を紹介します。
4.1 算術演算子
+
: 足し算-
: 引き算*
: 掛け算/
: 割り算%
: 剰余(余り)
x = 10
y = 3
print(x + y) # 13
print(x - y) # 7
print(x * y) # 30
print(x / y) # 3.3333
print(x % y) # 1
4.2 比較演算子
==
: 等しい!=
: 等しくない>
: 大きい<
: 小さい>=
: 以上<=
: 以下
print(x == y) # False
print(x != y) # True
4.3 論理演算子
and
: 両方の条件が真ならばTrueor
: どちらかの条件が真ならばTruenot
: 条件を否定する
print(x > 5 and y < 5) # True
print(x > 5 or y > 5) # True
print(not(x > 5)) # False
5. 入力と出力
プログラムにおいて、ユーザーからの入力を受け取ることや、結果を出力することは基本的な動作です。
5.1 出力
print()
関数を使ってコンソールにメッセージを出力します。
print("こんにちは、Python!")
複数の値を同時に出力することも可能です。
x = 5
y = 10
print("xの値は", x, "で、yの値は", y)
5.2 入力
input()
関数を使ってユーザーからの入力を受け取ります。受け取った値はすべて文字列として扱われます。
name = input("名前を入力してください: ")
print("こんにちは、" + name + "さん!")
数値を入力したい場合は、int()
やfloat()
で変換します。
age = int(input("年齢を入力してください: "))
print("あなたの年齢は", age, "歳です。")
6. 条件分岐
プログラムは条件に応じて異なる動作をさせることができます。これにはif
文を使用します。
6.1 if文の基本
if
、elif
、else
を使って条件分岐を行います。
x = 10
if x > 5:
print("xは5より大きい")
elif x == 5:
print("xは5と等しい")
else:
print("xは5より小さい")
6.2 複数の条件
and
やor
を使って、複数の条件を組み合わせることができます。
x = 10
y = 5
if x > 5 and y < 10:
print("xは5より大きく、yは10より小さい")
6.3 ネストされた条件
条件の中にさらに条件を入れることも可能です。
x = 10
if x > 5:
if x < 20:
print("xは5より大きく、20より小さい")
まとめ
今回は、Pythonの基本文法としてコメントの書き方、インデント、変数とデータ型、演算子、入力と出力、条件分岐について学びました。これらの基本要素を理解することで、簡単なプログラムを作成できるようになります。
次回は、繰り返し処理(ループ)について解説します。ループを使うことで、プログラムを効率的に動作させる方法を学びます。
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